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マスコミから通称を与えられるのは、人気が高い、または注目されている証拠。

こちらのパティシエの場合、「パティスリー界の○○○」といった具合に呼ばれることがあります。

例えばピエール・エルメさんの場合は「パティスリー界のピカソ」。

一見ミスマッチと思われる素材を組み合わせて絶品マカロンやケーキを作るなど、伝統や先入観に縛られることなく意欲的に新作を生み続ける姿勢が、芸術家ピカソに似ているからでしょう。

 

そしてクリストフ・ミシャラクなら「パティスリー界の革命児」。

砂糖やバターを大幅カットする代わり、ショコラや果実の甘味や酸味を駆使してスタイリッシュなスイーツを展開させ、美味しいけど食後に胃もたれするといったフランス菓子の重たい印象を払拭させた功績と讃えてこう呼んでいるのでしょう。

 

また世間一般には全く浸透はしていないもののル・フィガロ紙がセバスチャン・ゴダールを「パティスリー界のトム・フォード」とたとえていたのを目にしたときは、なるほど!と思い笑えました。

ギラギラとしたアクの強い男前で、そつのないクリエーションを展開させているところが似ているからです。

 

さて本題。

「パティスリー界の大御所」と呼ばれているのが、今日紹介するフィリップ・コンティチーニです。

コンティチーニ氏。先月のサロン・デュ・ショコラにて。

 

■シンプルながら深みのある味わいのケーキ

 

大御所の作るケーキは、見た目はシンプルで味に深みがあるのが特長。

インスタ映えはしないかもしれませんが、味は確実。無駄をそぎ落としたライトで完成度の高い味わいです。

 

◇レモンパイ、そば粉のプラリネ Tarte Citron, praliné au sarrasin

上品なレモンパイ。さっくりしっとりのパイ生地の中にレモンのコンフィを敷き、その上にレモンクリーム、そば粉のプラリネを重ね、さらにイタリア風メレンゲがのせてあります。

レモンのコンフィは酸っぱさがやや強め。はっと目覚めるような酸味がフレッシュなアクセントになっています。

そば粉のプラリネをはさみ込む演出は、さすが大御所。焙煎されたそば粉の香りとシャリシャリとした食感が快適で、独創的で大人な味に仕上がっています。

イタリア風メレンゲは、薄い表面だけカリッと、そして中はトロリとしたテクスチャーです。ちなみにメレンゲは、ホワホワで柔らかいのがイタリア風、硬くさくっとした歯ごたえがあるのがフランス風です。

些細なことですが、デコレーションのレモンのキューブ型ゼリーが絶品です。

 

味:★★★★★

見た目:★★★☆☆

斬新性:★★★☆☆

リピートの可能性:★★★★☆

 

 

◇ババ・バーガー Baba Burger

ババ・オ・ラムを、バーガー風にアレンジ。

ラム酒のシロップに漬けたスポンジ生地の間に、生クリームとカスタードクリームをはさんだシンプルなケーキ。シンプルだからこそ、ひとつひとつの構成要素の繊細な美味しさが際立ちます。

生クリームは雲のようにフワフワで、カスタードも滑らか。いずれも甘さは控えめで、バニラの香りが豊かです。

芳醇で美味しいのは確実なのですが、食べ進めていくうちに味が単調に感じられるようになり、少々の物足りなさを感じてしまいました。

 

味:★★★☆☆

見た目:★★★★☆

斬新性:★★★★☆

リピートの可能性:★★★☆☆

 

 

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■年を重ねるごとに、無駄がそぎ落とされクリエーションはシンプルに

フィリップ・コンティチーニのブティック

レシピ本を多数出版したり、テレビの製菓コンクール番組で審査員を務めたりと、メディアへの露出が多く、その才能は誰もが認めるところですが、大御所が自分の名前を掲げた店をオープンさせたのは昨年9月のこと。

55歳でのソロデビュー。パティシエがそろそろ後継者育成や引退を考えるような年齢になってからですから、決して早くはありません。

 

それ以前には投資家と組んで「Pâtisserie des Rêves」というケーキ屋を立ち上げ、シェフを務めていましたが、いつの間にかにその座を別のパティシエに譲ってしまい、店は閉店。

(ビジネスパートナーである投資家ともめた?)

 

「Pâtisserie des Rêves」で展開させていた大御所のケーキが美味しかったこと。

その頃のケーキと比較すると、現在展開しているケーキは見た目がシンプルになり、味もライト&フレッシュになっています。

ショーケースに並ぶケーキも、無駄なデコレーションがなくシンプルでスタイリッシュ。

もともとフランスの定番菓子を個性的にデザインしてアレンジすることに定評があった大御所でしたが、年を重ねるにつれて感性が磨かれて、本質だけを残して無駄を省くようになったのでしょうか。

個人的には、以前のような、バターの風味が豊かに感じられるレシピも好きでしたが。

 

ただ心配なのは健康状態。一時期は体重も減ったかに思われましたが、最近またリバウンドしたよう。パリのサロン・デュ・ショコラでお見かけした時も、かなりの巨漢でした。

足も悪くされているのか、杖は手放せないようです。

 

世代交代が激しいパティスリー界。

まだまだ頑張っているベテランを応援しなくっちゃと、勝手に使命を感じているのでした。

フィリップ・コンティチーニの公式HP= https://philippeconticini.fr/

 

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