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パリは言わずと知れたケーキ屋の激戦地。

開業することはもちろん至難の業でしょうが、経営を維持し続けることも容易ではないはず。新しくできたと思ったら2年もたたぬうちに店じまいしてしまったケーキ屋をいくつも見てきました。

そんな厳しい現状をもろともせず、甘党を魅了し続ける小さなスイーツショップがあります。

それが実力派パティシエ、ヤン・メンギー(Yann Menguy)氏の店『La Goutte d’Or』(『金の雫』の意味)。

モンマルトルの丘の裾野に広がる住宅街にひっそりたたずむ店で出会える、感激するほど美味しいスイーツとは?

 

■パティシエの出世街道を一気に駆け上がったヤン・メンギー

「自分の店を持ちたい」

こう夢見るパティシエは、決して少なくはないはず。ただしその望みを叶えることができるのはごくわずか。

しかもパリに、しかも若くして店を開くのは困難を極めるでしょう。

ヤン・メンギー氏がパリ18区に自らの店La Goutte d’Orをオープンさせたのは2016年。若干30歳でした。

ちなみにピエール・エルメ氏がパリに自分の店を開いたのは40歳、クリストフ・ミシャラク氏は42歳でしたから、これらの大物と比較すると彼がいかに若くして自分の城を築いたかが分かります。

 

菓子職人として独立にこぎつけるためには、大きなメゾンやレストランで経験を積みながらライバルを蹴落して頭角を現すか、またはパティスリーの国際大会で優勝するか、またはM.O.F.(フランスの国家最優秀職人章)の肩書きを得るための試験に合格するかして、才能をアピールするというのがこれまでの通例でした。

 

ただしヤン・メンギー氏は、これらのいずれでもない現代的な新種の方法で世間に名を知らしめたのです。

それはテレビ番組への出演。ヤン・メンギーは有能な若手パティシエのチャンピオンを決めるTV番組『Qui sera le prochain grand pâtissier ?』 「次世代を担うパティシエは誰だ?」のシーズン1(2013年夏に全国ネットで放映)に参戦。

 

この番組は、すでにプロとして製菓に従事している若手職人が腕を競うもの。10人の挑戦者が「トマトを材料とするスイーツの制作」「子供を喜ばせるビュッフェ形式のおやつの制作」などのお題に沿って制作したスイーツを審査し、評価が低かったパティシエが次々と脱落していき、最終的に1人のチャンピオンを決定します。

シーズン1は、クリストフ・ミシャラク氏、ピエール・マルコリーニ氏、クリストフ・アダム氏、フィリップ・ウラカ氏といった審査員の顔ぶれも豪華でした。

 

番組に参戦した10人のパティシエの中でもヤン・メンギー氏の能力が際立っているのは素人目にも明らかで、毎回完成度の高い美しいスイーツを作り、それらを試食する審査員たちも高い評価を与えていました。

 

番組は4週にわたって放映され、「見た目もかっこいいし、この人が優勝するに違いない!」と思っていたのですが、残念ながら決勝戦で女性パティシエに敗れて準優勝。惜しくもチャンピオンの座は逃しましたが、ジュネーヴの一つ星レストランで働いていた一介のデザートシェフが一躍有名人に。

その後ラデュレのクリエイティブシェフに抜擢され、そして番組終了から3年後に自分の店をオープンさせるに至ったのです。

 

 

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■味も見た目もスタイリッシュなケーキたち

ヤン・メンギー氏の作品の特長は、デザイン性が高く洗練されていること、そしてクリームが軽くホワッホワで舌触りが心地よいこと。

ケーキはいずれも小ぶりで腹持ちこそ良くないかもしれませんが、その代わりに記憶に深く刻まれて脳内に長くとどまること請け合いです。

 

 

La Pavlova」 5,70EUR

ニュージーランド発(一説にはオーストラリア発との説も)の伝統的なお菓子パヴロヴァも、ヤン・メンギー氏の手にかかればこんなにスタイリッシュに。

焼いたメレンゲにホイップクリームとフルーツをのせたケーキのことですが、発祥地では歯が解けるくらい甘いのが定番ですが、こちらのものは甘味よりも酸味、しかもとげのある酸味ではなくまろやかでフルーティーな酸味が重視されています。

純白のメレンゲをくりぬき、リンゴのコンポートとあられ切りにした生のリンゴが詰められていますが、くりぬいた内側をホワイトチョコレートで薄くコーティングしてあるという手の凝りよう。おかげで果実の水分でメレンゲを湿らせてしまうことなく、サクサクの食感が楽しめるようになっています。

その上には軽くてエアリーなホイップクリームと、くし形切りにしたグラニースミスのリンゴをのせて。

 

メレンゲのサクサク、リンゴのシャキシャキ、クリームのホワホワと、多彩なテクスチャーが楽しめます。

 

Tarte Vanille」 5,80EUR

パウダーシュガーが雪のように降りかかったホワイトチョコの円盤、ブルボン種バニラのクリーム、キャラメリゼしたピーカンナッツ、アーモンドクリーム、サブレが層になったバニラの風味がリッチなタルト。クリームは雲のように軽く舌解けが良いので快感です。

ピーカンナッツの香ばしさと歯ごたえがアクセントになっていて、味わいがさらに豊かに。

バニラ、アーモンド、ピーカンナッツが織りなす三重奏が素晴らしく、味わいと香りがバラバラにならず上手くまとまっています。

 

■パリはもとより世界中のスイーツマニアが訪れる店

ヤン・メンギー氏の店は住宅街の中に在ります。観光スポットのサクレクール寺院からは少し距離がありますが、足を延ばしていく価値は十分にあります。

生菓子6~10種類のほか、焼き菓子、パンなどが販売されています。イートインのスペースもありますが小さなカウンターに椅子が3席しかないので、タイミングが悪いと確保できないことも。

 

La Goutte d’Or Pâtisserie

183 Rue Marcadet, Paris 18e

【営業時間】9時~19時30 日・月曜定休

【最寄りメトロ】Lamarck Caulaincourt(12番線)

 

 

 

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